忙しい日々を送りながら、でも将来に備えて英語を勉強したい、そう思っている方は多くおられるのではないでしょうか?
限られた時間で成果を出すためには、効率的にかつ効果的に勉強したいものですが、世のなかには多くの教材があってどれを選べば良いのかわかりません。
そこで今回は、英語を第二言語として学ぶビジネスパーソンが確実に成果を出せるよう、科学的に検証された方法に基づくオンライン教材を中心にご紹介したいと思います。
(執筆:野比)
科学的根拠のある英語学習法のポイント
まず学習者には、成人であること、そして英語を第二外国語として学習していること、この2つの特徴が挙げられます。
そこで、成人が第二言語を学ぶために効果的な方法をご紹介します。
具体的には、
- 学習者主導であること
- 基礎の理解から実践(自動化)を意識した学習ができること
- アウトプットを意識したインプットができること
の3つです。
1. 学習者主導であること
学習者主導であるということは、成人学習理論に基づく原則に従うことでもあります。
成人学習者は、一方的に教えられる学生とは異なり、自らが知りたいことを学ぶため、学習者が自らリードし、選択する学習スタイルが良いと言われています。
成人学習理論には、いくつかの原則があることが知られています。その原則のなかでビジネスパーソンが持つ特性を生かすためには、ビジネスの現場ですぐに利用できるスキルが学べること(活用の原則)、すでに社会の一員である学習者のプライドや自主性を尊重して学習を支援してくれること(協力の原則)などが重要です。
また自分がこれまで学んできた経験や蓄積がありますので、自らのレベルやニーズにあった学習ができることも重要になります。
学習教材を選ぶときには、このような成人学習理論に則った作り方がなされているのかは、注目すべきポイントです。
2. 基礎の理解から実践(自動化)を意識した学習ができること
より効率よく効果的に学習するため、「自動化理論」「PCPPモデル」「トップダウンアプローチ・ボトムアップアプローチ」に基づく学習法が良いとされています。
2-1. 自動化理論
第二言語の学習は、ベースに母国語の理解があります。
そして言語を習得するということは、その言語を無意識に使用できるレベルにまで到達することを意味しています。
そのレベルにまで到達するためには、第二言語の基礎(文法・語彙)を母国語と照合するフェーズが必要となり、その後自動化できるフェーズにステップアップする順番が重要です。
つまり自分のレベルに合わせた基礎の習得、そして習得したことを無意識に使えるようになるまで反復して練習する、このような学習方法ができると最適です。これを自動化理論と呼びます。
なお自動化の際には、アウトプットすることだけにフォーカスするのではなく、アウトプットすることを前提にしたインプット、経験などのアウトプットからフィードバックを受けたインプット、双方を相補的に行うことを意識したインプットも重要です。
2-2. PCPPモデル
レッスンや学習を開始する際には、まず冒頭で学習する際の題材(テーマ)が提示され、その内容を理解した上で、学習したことを試行錯誤しながら繰り返し利用するアウトプットのプロセスを経ることが良いとも言われています。これは提示(Presentation)、理解(Comprehension)、練習(Practice)、そして産出(Production)を経ることから、PCPPモデルとも言われています。
レッスンの際に、最初にその日の学習内容や目標を提示し、提示されたテーマや目標を意識しながら学習を進めてくれるスタイルが良いですし、マンツーマンのレッスンであれば、自分から講師に対して自分が勉強したいテーマを提示してみるのも良いでしょう。
2-3. トップダウンアプローチ・ボトムアップアプローチ
第二言語習得においては、例えば会議や電話対応、プレゼンテーションなどよくある場面で使われる定型表現を習得すること(トップダウンアプローチ)と、語彙・文法・発音といった基礎力の学習(ボトムアップアプローチ)の両方が必要です。これは知識を組み合わせて実践の場で使えるよう練習し、実践力を高めていく方法です。
ちなみにビジネスパーソンが学ぶビジネス英会話は、定型表現が多くありますので、トップダウンアプローチが効果的に活用できます。
3. アウトプットを意識したインプットができること
ビジネスで使える英語を学ぶためには、アウトプットを意識したインプットが重要になります。繰り返しアウトプットを行うことが自動化にも役立ちます。
このアウトプットは、必ずしもスピーキングだけを意味するのではなく、ライティングも同様です。書くことで、文法の曖昧さをただすこともできますので、ライティングによるアウトプットも意識したいところです。
また、意味(=メッセージ)を伝えることを目的としたアウトプット、そしてアウトプットの過程で学習者の意識を文法や語彙などに必要に応じて向ける学習スタイルも推奨されています。これはFocus on Form (FonF)とも呼ばれています。例えば、ビジネスシーンでありうるプレゼンテーションなどの設定で、学習者が発表する過程で、語彙の補足や文法のレクチャーを組み込むことです。
なお指導者主導で、文法は文法として形式を重んじて指導を受ける従来の学習スタイルと比べ、学習者も主体性を持つFonFは学習効果が高いことがわかっています。例えば、それぞれのスタイルで関係代名詞を学んだ学習者を比較した研究によると、FonFで学習したグループの方が習得率は高く、かつ学んだ知識がより長期間定着していました。
(出典:Kimura N. Differential Effects of Focus on Form and Focus on FormS on the Acquisition of English Relative Clauses by EFL Learners in Japan. 学校教育学研究論集(29): 29-39, 2014. http://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/136315/1/13447068_29_03.pdf)
学習教材を選ぶ際には、このような理論が応用されている教材を意識して使用してみることが、学習の成果を高めるために効果的と言えます。
ビジネスパーソンに役立つ、根拠のあるオンライン教材
それでは、ご紹介した成人学習理論や英語を第二外国語として学ぶために効果的な理論を応用して作成されている、オンライン教材をご紹介したいと思います。
選ぶポイントは、
- 学習者主導であること。これはスケジュールの自由度、学習スタイルの好み(グループ学習 vs マンツーマン)など、個別ニーズに対応してくれることを重視しています。
- 基礎レベルのインプットから、実用レベルのアウトプットができること。これは学習者のレベルに応じた文法学習や語彙力強化から、目的別の会話やライティングに対応していることが重要です。
- アウトプットの過程で誤りを修正してくれる指導スタイルを採用し、かつビジネスシーンに特化したアウトプットに対応してくれることを重視しました。
スケジュール選択 | 学習スタイル選択 | レベル別対応 | 目的別会話・ライティング対応 | ビジネス対応 | 特徴 | |
レアジョブ英会話 ![]() | 6〜25時 | 自習+マンツーマン | ○ | ○ | ○ | 細やかなカウンセリング |
EF English Live ![]() | 24時間 | 自習+マンツーマン+グループレッスン | ○ | ○ | ○ | 世界中の学習者とつながる |
QQ English | 24時間 | 自習+マンツーマン | ○ | ○ | ○ | カランメソッドを採用 |
スパトレ | 24時間 | 自習+マンツーマン | ○ | ○ | 要相談 | 科学的手法を応用 |
Bizmates(ビズメイツ) ![]() | 5〜25時 | 自習+マンツーマン | ○ | ○ | ○ | ビジネスに特化 |
1 レアジョブ
日本国内のオンライン英会話サービスでは、最大のシェアと実績で知られるレアジョブです。
モバイル端末にダウンロードしたアプリを使って手軽に受講できるレッスン、そして日本人スタッフによるきめ細かいフォローが特徴です。登録時のレベルチェックと合わせ、過去の学習歴などをヒアリングしてもらい、マイルストーン(数か月後に達成可能な目標)を設定します。その後定期的にカウンセリングを受けることで、目標への達成度の確認と新たな目標設定を行うので、無理なく学習を進めることができます。
6,000人以上の講師はフィリピンで採用されており、英語力や指導スキルの他、人柄なども含めて審査されています。また採用後は、日本人を指導するための特別な訓練を受けており、厳しい審査とトレーニングを経た人のみが指導しています。
学習者のレベルに合わせ、4,000以上もある無料教材を目標に合わせて選びます。また各レッスンでは、まず学習目標を確認し、目標に到達できるようにインプットからアウトプットを意識した内容になっています。初学者から上級者まで、幅広い要望に対応でき、ビジネス英会話コースの選択も可能です。思い立ったらすぐ、5分後にはレッスンを開始できるので、アウトプットを無理なく増やすことができます。
月額4,200円(税別)で毎日25分のマンツーマンレッスンを受けることができます。2,900社を超える法人で採用されているサービスであり、オンライン英会話業界でただひとつの上場企業でもありますので、どのサービスを利用して良いかわからない方でも、比較的安心感して試してみることができます。
2 EF English Live
EFイングリッシュライブは、世界110か国以上に展開する世界最大級の語学教育機関Education Firstグループが提供する、オンライン英語学習サービスです。世界中にいる2,000人以上の講師と2,000万人近い学習者とつながって、グループレッスンを受けることもできるので、国内にいながら語学留学を体験できることが最大の特徴です。
講師は全員がネイティブ講師で、英語を指導する専門資格を有するプロのみ。学習者は自分の好みに合わせて、予約不要のグループレッスン、マンツーマンレッスンの両方を選べます。
学習プログラムは、英国ケンブリッジ大学と共同開発されています。16段階のレベル分けにより、学習者のレベルに合わせ段階的に4技能全てを効率的に学習できます。しかも、充実したオンライン教材は使い放題です。
一般英語だけでなく、目的別に学習コースを選ぶことができ、グローバルビジネスの現場で通用する英語力を世界中のビジネスパーソンと一緒に学ぶことができます。
充実した教材とマンツーマンレッスンで弱点を補強を意識したインプットを行い、何度でも受講できるグループレッスンでアウトプットを意識して実践力を高める、そのような使い方ができます。
料金は月額8,100円(税別)で、30回のグループレッスン、8回のマンツーマンレッスンを受けることができます。語学留学に興味があるけど長期の休みは取れないという方や世界の仲間と一緒に勉強したいという方におすすめです。
⇒ EF English Liveの無料体験、会員登録等はこちらから
3 QQ English オンライン
「ネット留学」がコンセプトのオンライン英会話で、1960年代に英国で誕生した英語学習法「カランメソッド」を採用しているのが特徴です。
カランメソッドは、通常よりも速めのスピードで話す講師の大量の質問にひたすら答える特訓のような学習法です。母国語を介さず、ひたすらインプットから直ちにアウトプットをする、自動化の特訓とも言えます。
この「カランメソッド」の数少ない正式認定校のひとつが、QQ Englishです。学習者が言葉や文法で間違えても、その場ですぐに修正してくれますので、ビジネスの現場で必要とされる「正しい英語」が高速で身につくと言われています。
QQ Englishの講師は、英語を第二外国語として学習する人に指導する国際資格である、TESOLの取得者で、品質も保証されています。講師はフィリピンのQQ Englishの校舎からレッスンを提供しており、通信環境も安定した管理された環境です。
カリキュラムは、学習者のレベルに合わせて組まれており、基本的な英文法から学べる初級から、ビジネス分野にも対応するBusiness English、Global Business Skills のコースも選択できます。カリキュラムの提案や学習サポートは、学習者の好みにあう形を日本語で提案してくれますので、初学者でも安心できます。
1回25分のレッスンが、月額3,685円(月8回)~というリーズナブルな料金で受けられるのもQQ Englishの魅力です。毎日受講できるコースもあります。
⇒ QQ Englishの無料体験、会員登録などはこちらから
4 スパトレ
スパトレは、第二言語習得論や認知心理学、脳科学における研究結果を応用した、科学的な根拠に基づくオンライン英語学習教材です。
はじめに受けるテスト結果を分析し、「言語認識」「意味理解」「組立て」「記述」「音声化」「インタラクション」の6つのスキルの弱点を見つけ出します。その結果と個人の学習目標をもとに、レベルに応じた学習教材を紹介と学習方法の提案をしてくれます。
自習(予習と復習)が必須になっていますが、自習の段階でアウトプットを意識し、アウトプットに必要な知識をインプットします。アウトプットの段階では、発音や理解度の確認を外国人トレーナーとともに実施するスタイルです。トレーナーと呼ばれる指導者は、一方的に教えるのではなく、学習者が学んだことを尊重し、学習者をサポートしてくれます。アウトプットトレーニングでは、ロールプレイも取り入れており、現場で使える英語が習得できるように工夫されています。
料金は、毎日1回のトレーニングを受けて1回(25分)96円、月額2,980円(税抜)と良心的。「低料金で、毎日英語のトレーニングを受けたい」「忙しくて時間がないので、科学的に効果のあるトレーニングで、短期間で英語力を鍛えたい」という人におすすめです。
5 Bizmates
「日本のビジネスパーソンが世界で活躍する」ことをミッションに掲げるBizmates(ビズメイツ)は、ビジネスにおけるコミュニケーションスキルを身につけることを目指すオンライン英会話です。
単に英語力を上げることが目的ではなく、英語をツールとしてグローバルに仕事ができる人材の育成に取り組んでいます。
学習者のレベルに合わせ、学習内容だけでなく指導方法も柔軟に対応してくれます。レッスンでは、はじめに学習目標を共有し、テーマに関してインプットした内容を、続けて繰り返しアウトプットしつつ、正しい表現方法をトレーナーから教えてもらいます。
トレーナーは、ビジネス経験者だけでなくMBA取得者など、グローバルなビジネスの現場を知っているので、ビジネスに対するマインドセットなども含め、ビジネスパーソンとして対等な立場で学ぶことができます。
毎日1レッスン(25分)で月額12,000円(税別)(1レッスン50分で18,000円(税別))と他のオンライン英会話に比べて多少高めの設定ですが、通学するよりは安価です。
グローバルな現場で仕事をする前に、日本にいながら世界を体感し実践力を身につけたいビジネスパーソンには最適のオンライン教材です。
まとめ
忙しいビジネスパーソンでも、効果を実感できるオンライン英会話教材をご紹介しました。
目標を明確に持ち、自分のスタイルにあった学習法を選択すること、そして科学的に検証された手法を踏襲することで、最短距離で目標に到達できます。
どのサービスも無料トライアルが用意されていますので、まず気になるサービスを試してみることをおすすめします。
(執筆:野比)
※ オンライン英会話では、表現方法や単語のわからない部分については講師に都度聞くことができ、TOEICで600点ぐらいのレベルがあれば効果が出てきます。
しかし、そのレベルに満たず、文法力や語彙力が低い人は、別途そうした基礎力を身に付ける必要があります。
TOEIC600点を取りたい場合は、スタディサプリTOEICがおすすめです。
(参考記事)
※ 以下、オンライン英会話に関する他の記事です。